結婚が正式に発表された。
イルカも既に火影屋敷に住んでいたし、里民たちにとっても周知の事実であったから、今更だ……とイルカもカカシも思っていたのだが、世間はどうやら違ったようだ。
やっと二人を大っぴらに祝えると、ナルトを始めとする馴染みの部下たちがここぞとばかりに祝いの言葉や品を贈り二人を盛大に祝う。
二人の、[里が落ち着くまでは大袈裟にしたくない]という意思の尊重は、どうやら里民達の大きなストレスであったらしい。
今までの我慢が長かったせいか、そんなお祭り騒ぎは何日も続いた。
それも、一ヶ月を過ぎて落ち着いてきた頃。
カカシもイルカもようやく日常の生活に戻りつつあったある日、一人の生徒がイルカのそばにやってきて、唐突に大泣きし始めたのが、今回のこの騒動の始まりである。
「僕たちは、子供でお金もない!それでも先生たちをお祝いしたいの!!」
子供たちの言葉にイルカは感動する。
そして、子供たちのための披露宴を行うことを決めた。
披露宴なんて恥ずかしい、そう言っていたイルカの、一大決心だ。
披露宴は一ヶ月後に決まる。
イルカはまず、祝ってくれる子供達のために、一人一人に向けて手作りのプレゼントを作ることにした。
これが、のちに イルカオカンアート と呼ばれることを、
……まだ誰も知らない……。